2014年の野球界を振り返るうえで忘れてはならないのは、「延長50回の死闘」だろう。全国軟式野球大会の準決勝、岐阜・中京高校と広島・崇徳高校による試合が、3日続けてサスペンデッドゲームとなった。延長46回から再開された4日目の延長50回に中京が得点を奪い、3ー0で勝利。中京高校は同じ日に行われた決勝で三浦学苑(神奈川)に勝利し、頂点に立った。
中京のエース・松井大河投手(3年)は、準決勝では4日間で延長50回、709球を投げ抜き、決勝戦でもリリーフで5回2/3を無失点。チームの2年ぶり7度目の優勝に大きく貢献した。一時は日本ハムなどが獲得調査をはじめ、軟式野球界からのプロ選手誕生に期待が集まったが、実際は指名がなかった。
松井投手を取り巻く環境は劇的に変わり、一時は大フィーバーとなった。肩やひじなどへの負担が心配されたが「今は問題なく投げられています」と明かすなど順調。この戦いはアメリカでも報じられ、話題を呼んだ。
松井投手自身は「投げているときはどうして野手は打って(点をとって)くれないんだろうと思いながら投げていましたね。それでも仲間が声をかけて励ましてくれたので、信じて投げていました」とマウンド上での心境を明かしていた。
気になるのは松井投手のその後である。表彰式では「大学に進学して、準硬式野球部に入り、経験を積んで、プロに行きたいです」とプロ入りへの想いをはっきりと口にしている。 |