北海道には支部予選というものがある。名寄・北見・小樽・釧根・札幌・函館・室蘭・南空知・北空知・旭川・十勝、以上11の支部(当時)に別れて支部予選を戦い、勝ち上がった代表校が夏は南北の北海道大会、春と秋は全道大会を戦うという仕組みである。参加校数の違いは、支部毎に送りだす代表校の数で調整している。札幌支部が最も学校数が多い上に強豪校も揃っており、次いで函館支部、旭川支部などに強豪が多い。名寄支部はまだ甲子園出場校を出したことのない地区で、強豪は稚内大谷だけといっても過言ではない。支部内に強敵がいない稚内大谷は平成3年春から9年間に渡って勝ちに勝ち続けてついに100連勝に達してしまう。平成11年の秋の予選で天塩に敗退、ちょうど100連勝でストップした。ところが稚内大谷は、特に強かったこの9年間を含めて一度も甲子園に出場していない。「支部内で抜きん出ている上に、全道レベルでは優勝するような力がない」という非常に微妙なバランスを9年間も保ち続けたという、何とも奇妙な記録なのだ。
稚内大谷が最も甲子園に近づいたのは平成5年夏の北北海道大会。支部予選で名寄農、天塩、稚内商工を退け、例によって名寄支部代表となった稚内大谷は北北海道大会の1回戦で北見柏陽を4−0完封の好発進。2回戦で滝川西を5−4、準決勝で帯広南商を8−3で下して、支部予選から破竹の6連勝で初の決勝進出。甲子園初出場に王手をかけた稚内大谷だったが、決勝で旭川大高に1−2で惜敗して準優勝に終っている。
北海道は学校数が多いので、支部内で抜きん出ているチームは何十連勝するのは珍しくない。函館支部で118連勝した函館有斗(現・函館大有斗)は春6回、夏7回の甲子園出場。甲子園でも常連校だった。平成に入り南空知支部で109連勝の駒大岩見沢(平成26年に閉校)も春8回、夏3回の甲子園出場を果たしている。
▼北海道支部予選で100連勝以上の記録
1)函館大有斗(函館支部)_118連勝(昭和56年夏予選〜平成3年春予選3回戦)→甲子園出場13回
2)駒大岩見沢(南空知支部)109連勝(平成3年秋予選〜15年春予選決勝)→甲子園出場12回
3)稚内大谷_(名寄支部)_100連勝(平成3年春予選〜11年秋予選2回戦)→甲子園出場なし |