練習試合、
ベンチスタートの彼。
いぶき野ボールパークスに入団してくれて、春先の練習で足首を骨折し、夏場はほとんどといっていいほど野球の練習はできず、逆に仲間たちは、厳しい夏場を乗り越え、ひとまわりも、ふたまわりも技術的にも心も大きく成長しています。
試合の始まる直前に彼と話をしました。
「ベンチスタートだけど、いつでもいけるように準備しておいてよ」
「三つの準備(体の準備。頭の準備。心の準備)をしっかり整えておいてよ」
「試合で活躍できるる選手って、仲間たちの事をしっかり応援できる選手だよ」
そんなことを彼に伝え、試合はいざPLAY BALL!
ベンチの中での彼の仲間たちへの声援は、過去私が経験もしたこともないくらいの強烈な鮮烈な大声援でした。
仲間たちへの思い、仲間たちのために今の自分にできる最大級。
試合開始から、試合終了まで・・・
大声援で声がかすれ、せき込み、もしかしたら軽い酸欠になっているのではと心配になるくらい・・・
お母さん方が彼を気遣い、彼に水分補給を与えるくらい・・・
試合途中からライトに入り、内野ゴロ→ファースト送球の際のカバーリングでの全力疾走。
見逃してはならないシーン。
さて、彼の打順がやってきました。
私は彼以外の選手を集め、質問を投げかけました。
「この試合で、仲間たちのために一番応援してくれているのは誰ですか?」
皆は一斉に迷うことなく彼の名をあげました。
「じゃぁ、今日一番の大声援で、彼にヒットを打ってもらわないとだめやね」
仲間たちの大声援の中、彼は仲間達からの「勇気と元気」をもらってバッターボックスへ・・・
スイングアウトの三振でしたが、普段見せないフルスイングを仲間たちが後押ししたはずです。
彼の公式戦での初ヒット・・・
そう遠い先ではないはずです。
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