この奇跡というべき体験をした後、上野監督は、高校生よりも身体的に弱い小学生を預かる者としてチームでAEDを購入し、常に携帯して試合や練習に臨むそうです。
「大会はもちろんの事、試合・練習においてもAEDを置いていない場所で行動をすることに不安を感じるんですよ。またAEDを見つけると自然にその位置を再確認するようになりましたね。スポーツの中でも特に野球はAEDが必須だと思いますよ」と上野監督は強く言い切りました。
住之江ウルフのチームの子供達も救命という事柄に関心を持ち、
「常に意識の中に有事の際に何をすべきか?」ということを考えるようになったといいます。
実際に具合の悪くなったおばあさんを見つけたチームの子供たちが、大きい声で助けを呼び大事に至らなかったという事例もあったそうです。
更にその輪はチームOBの保護者にも広がり、消防署の講習受講や進学後の中学部でAEDの購入検討をするなど、着実に意識の変化を上野監督は感じておられます。
またその他にも、グランド周辺半径200m以内にあるAEDの場所を記した「AEDマップ」を自主的に作るといった動きまでチーム内に出てきました。
「まだ他のチームでAEDを携帯しているチームは見ませんね。
もっとこの学童野球に携わる多くの大人がAEDの必要性を感じて欲しいと思います。ポップアスリートカップも全国大会等では必ずAEDの設置されたグランドを会場とするなどの必要性があるのではないでしょうか?」といったご指摘も頂きました。
ちなみに上野監督率いる住之江ウルフは、試合の時にはベンチの目立つ所にわざとAEDを置いて、対戦チームの理解促進を図っているそうです。
「いつも子供達にはその状況を的確に判断して次のプレーに何が必要かを想定して行動しなさいと言っています。つまり考えて準備を怠るなという事です。でも、その前に大人たちがAEDの準備、救命行動知識を備えることで、子供達に安心して野球に打ち込める環境を提供することが何よりも最優先されるべきなのではないか、と思いますね。」と上野監督は締めくくられました。