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KP〜プロテクトキッズプロジェクト〜 Protect Kids Project 第1章:AEDによって救われた命

専門家の目から見た心臓震盪(しんぞうしんとう)

臓震盪(しんぞうしんとう)とは

心臓震盪は胸に何らかの衝撃を受けて心臓麻痺を起こすことを指します。
脳の場合は一瞬意識が遠のくなど、一時的な現象で済みますが、心臓の場合には、そのまま心停止して突然死の原因になります。
健康な人でも、ある種の衝撃を胸に受けた時に心臓が止まって突然死に至ることもあり、病気というよりは事故のようなものです。特に、野球やサッカー、ホッケーなどのスポーツを行っている最中にボールが胸に当たって引き起こされることが多く、なかでも野球による発生事例が多くなっています。

(1)バッターが打ったボールが直接胸に当たった、
(2)素振りのバットが当たった、
(3)キャッチボールのボールが当たった など、と状況はさまざまです。


球技以外にも、空手で突きが胸にはいって起こったケースや、兄弟げんかの小突き合い、夫婦げんかの仲裁に入ったこどもの胸に親のひじが当たって起きたケースもあります。
このように心臓震盪は特別な状況で発生するのではなく、日常のなかで起こる可能性があることを考慮し、 起こったときには正しい対処法をとることが大切です。心臓震盪が起こったときに周りの人は迅速な対応が要求され、 直ちに蘇生術が必要です。

治すにはAED による電気ショックが唯一の方法です。心臓震盪は、衝撃によって心臓に不整脈(心室細動) が起き、全身に血液が送り出されない状態になっています。これを元に戻すには、心室細動をリセットする電気ショック(除細動)しか方法がありません。基本的には健康な心臓なわけですから、早期に処置をすれば後遺症もなく元に戻ります。特に心臓震盪の場合は外部からの衝撃によって引き起こされるので、必ず状況のわかっている目撃者がいます。
その目撃者が、すぐに行動を開始することが望まれます。

実際に胸に何かが当たって倒れたことを目撃したら

周りの人たちはすぐに意識と呼吸を確認してください。
ポイントは、これを10秒以内に行うことです。倒れてから様子を見て、1分2分経って、やっぱりおかしいから救急車を呼ぼうというのでは遅いのです。一刻を争うのだという認識で、10秒以内に意識と呼吸を確認して、それらがなければすぐに救急車を手配して心臓マッサージ(胸骨圧迫)を開始することが大切です。
その際、近くにAED があれば、最も有効な手段になります。
(この高校球児のケースでも)幸運だったのは卒業生が寄贈したAEDが学校内に設置されていたことです。救急車の到着までには一般的に6分かかるといわれているので、通報までのロスタイムや前後の時間を考えると、救急車を待っていたのでは、倒れてから救急救命士が実際に除細動を行うまでに10分以上はかかるでしょう。
それでは助かる可能性はほとんどゼロになってしまいます。

こどもの教育やスポーツ指導に携わる方々へメッセージ

こどもや健康な人にも心停止が起こるリスクを理解して、万全の体制を整えてほしいですね。
心臓突然死は若い健康な人や、スポーツマンにも起こりえます。スポーツに伴う心停止は、十分起こりうることだと想定したうえでAED を準備することが第一です。
それもただ学校やグラウンドにAED があればよいというのではなく、どの場所で心停止が起こっても、1分でAEDを取りに行き、1 分で持って戻り、1分で使用する、という合計3分以内の電気ショックが望まれます。
ですので、固定した場所に1台設置すればすむとは限らず、必要に応じて複数配置したり合宿や遠征に持って行ったりする柔軟な対応も重要です。
最近では、マラソン大会などに、一時的にAEDをレンタルして配備したり、AEDをかついで自転車で併走するモービル隊を構成するなど、効率性を考慮に入れた利用も試みられています。心臓震盪は、特殊な事故によって誰にでも起こりうることで、それは電気ショックでしか助かりません。言葉を変えるとAEDさえあれば助けられるということです。
迅速な判断と一連の救命行為(救命の連鎖:図参照) によって、その可能性は広がります。
学校やグラウンド、競技場、体育館などの施設や運動の場面にAED が準備され、それをみんながしっかりと使えるような講習、教育体制ができていくこと、そのうえで若者が安心し、思いきってスポーツに取り組めることが社会として望ましいあり方だといえるでしょう。

 “救命の連鎖”命をつなぐ救命の4 つの輪

<PHILIPS Inforward より、東京都済生会中央病院 副院長 三田村 秀雄先生のコメントより抜粋>



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